身体介護のポイント

身体介護では、日常生活の動作に支障がある方に対し、食事、排泄、入浴など身の回りの介助を行います。利用者の生活や命を守るために最も欠かせない業務であり、本人が望む生活を支えることが大切です。つまり、身辺介助だけではなく自立支援も含めた業務となります。介護職に勤める上で、身体介護の基礎はもちろん、注意点もしっかりと把握しておかなければなりません。身体介護の具体的な注意点として、まずは自立に向けた介護での場面を例に挙げます。ここで大切なのは、利用者の生活習慣や価値観を尊重することです。日常生活では、単なる生理的な欲求を満たすだけではなく、社会的、精神的、文化的欲求を満たす行為も含まれています。食事、排泄、入浴も、生命活動を維持するだけの生理的なものではなく、暮らしや文化という側面もあるのです。自立とは、こうした日常生活の生活行為について、自ら意思決定して行うことを指します。介護者が生活習慣について指図や否定をするのはもってのほかです。利用者主体の介護を心掛けましょう。

次に、身支度の場面の注意点を挙げます。身支度では主に洗顔、歯磨き、整髪、洗髪、爪切りを行います。これらは人間が生活する上で1日も欠かすことのできない基本的な動作群です。1日のメリハリやリズムとなり、生活への刺激も加わり、英気を養うこともできる重要な生活行為となります。利用者が1つでも忘れている動作があった場合には、積極的に声掛けをしましょう。身体介護は、ただお世話をすればいいというわけではありません。利用者の状況をしっかりと理解して臨むことが大事です。